前記事の「算出方法によって異なる平均年収、世帯年収、中央値。日本で働く人はどれくらい収入を稼いでいる?」では、公的機関が発表した数値をもとに、世帯の「年収」と個人の「年収」、よりリアルな年収の平均値を示す「中央値」をはじめ、さらに、民間給与の個人平均が男性→400万円台、女性→200万円以下であることも解説しました。
本記事では〈年収 ✕ ITエンジニア〉に目を向け、平均年収が500万円台と600万円台のITエンジニアを9つ厳選! 500万円台と600万円台の平均年収は人によって高い、普通、低いと感じ方は異なりますが、「年収」を複合的な視点で眺めることができれば、600万円台、500万円台に対する感じ方も変わってくるはずです。
500万円台、600万円台の数字を参考に、平均年収を上まわる高収入のエンジニア職をめざして、あなたらしいキャリアデザインを描いてくださいね。
システムコンサルタントは、クライアント企業の課題をIT戦略やシステム導入によって解決に導く、システム開発の上流工程を担うエキスパート職です。
● 平均年収
約610万円
● 年収幅
約380万円〜1200万円
● 20代
平均年収 約500万円
● 30代
平均年収 約730万円
● マネージャ(28~40歳)
平均年収 約600万~1400万円
●コンサルタント(22~30歳)
平均年収 約500万~ 700万円
● シニアマネージャ(32~45歳)
平均年収 約1300万~1800万円
ここがPOINT: 年収幅は、経験やスキルの違いによって300万円台〜1200万円超と広がりがありますが、平均年収が600万円台を示している理由は、1000万円超の高年収を得ているシステムコンサルタントが平均値を押して上げていることによります。
システムコンサルタントは、他のITエンジニア職と比較すると総じて高年収を得ている傾向にあり、30代〜40代にかけて年収の伸び率が高い点も大きな特徴です。
また、総システムコンサルタントは、単に勤続年数の長さだけでなく、知識、実力(スキル)・経験、マネジメント力を評価基準とすることが多いため、年齢が若くても高収入を得ている人もいますし、マネージャに昇格することで年収がグンと跳ね上がります。
システムエンジニア(上流SE)は、最適なシステムを開発するため、クライアント企業の要望分析から、要件定義、システムの仕様や機能等の決定など、システム開発の上流工程を担うエキスパート職です。
● 平均年収
約580万円〜610万円
● 年収幅
380万円〜1200万円
● 20代前半
平均年収 約330万円
● 20代後半
平均年収 約470万円
● 30代
平均年収 約540万円
● 社内SE
平均年収 600万円台後半
● 大手Sie SE
平均年収 600円〜1000万円
ここがPOINT: 業務用システムやWebサイト開発、組込み、IoT領域に携わるシステムエンジニアの平均年収は500万円台後半〜600万円台前半ですが、年齢、経験、実績を積むことで、年収の伸び率は高くなります。
また、所属する企業や業務領域によっても年収には相違があり、例えば、基盤システムを業務領域とする社内SEの多くが600万円台後半の収入を得ている傾向にあります。
さらに、中規模クラスのSierに所属するSEの平均年収は約450万円〜500万円ほどである一方、大手Sierに所属して大規模なシステム開発を手がけるSEになると、年収が1000万円を超えることも珍しくありません。
輸送用機器エンジニアは、航空機や船舶、鉄道車両などの輸送用機器の開発や設計など、専門的かつ技術的な業務に従事するエキスパート職です。
● 平均年収
約650万円
● 年収幅
約450万円〜1000万円超
● 20代前半
平均年収 約300万円
● 20代後半
平均年収 約400万円
● 航空宇宙エンジニア
平均年収 約1280万円
● シニアクラス
平均年収 約1590万
ここがPOINT: 平均年収は約650万円になっていますが、所属する企業によって平均年収は異なります。一例として、中堅企業に所属するミドルエンジニアは福利厚生が手厚い半面、平均年収は400万円台〜500万円後半ですが、大手で活躍する輸送用機器エンジニアは、取り扱う案件の大きさから平均年収が500万円〜600万円後半と高い傾向にあります。
一方で、企業規模やプロジェクトの大きさを問わず、リーダー職やニーズの高いスキルを有している輸送用機器エンジニアになると、年収1000万円超が提示されることも珍しくなく、最先端の航空宇宙分野では平均年収が1200万円を超えます。知識、実力(スキル)、経験、技術領域の希少性によって高待遇を得られる点も、輸送用機器エンジニアの特徴です。
電気・電子・電気通信エンジニアは、各種電気機器・LSI・電子応用装置・電気通信機器・強電機器、電子機械器具などの設計・開発、検査、製作・修理等に従事するエキスパート職です。
● 年収幅
500万円〜800万円
● 電気・電子・電気通信技術者
平均年収 約640万円
● 電気主任技術者
平均年収 約650万円
● 回路設計・開発エンジニア
平均年収 約650万円
●20代(入社3年目)
平均年収 約360万円
●30代中盤
平均年収 約600万円
●40代後半
平均年収 約770万円
ここがPOINT: 網羅する領域が広い電気・電子・電気通信エンジニアの場合、電気・電子、回路、通信、半導体、液晶、化学・素材、医療・医薬など、所属する企業や従事する業務、参加するプロジェクトなどによって平均年収は異なります。
また、知識、実力(スキル)や経験・実績、ポジションによって評価基準は異なりますが、電気・電子・電気通信エンジニアの年収は総じて高い傾向にあり、いずれの分野・領域においても年収幅は500万円〜800万円とされます。
機械エンジニア(メカニカルエンジニア)は、システムを搭載する機械そのものの設計・開発、製造プロセス、運用、管理をはじめ、機械分野の製品開発や製造に従事するエキスパート職です。
● 平均年収
約600万円~650万円
● 年収幅
約340万円〜890万円
● 自動車技術エンジニア
平均年収 約620万円
● 機械開発・設計エンジニア
平均年収 約610万円
● 産業用ロボットエンジニア
平均年収 約610万円
● 技術営業・アプリエンジニア
平均年収 約540万円
● 生産・品質管理エンジニア
平均年収 約530万円
● 生産技術エンジニア
平均年収 約500万円
ここがPOINT: 機械エンジニア(メカニカルエンジニア)の年収幅は、所属する企業や手がける案件によって上下動しますが、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、2022年時点の平均年収は、600万円~650万円(賞与含む)と、全国の平均年収より142~192万円ほど高い水準になっています。
また、機械エンジニア(メカニカルエンジニア)はチームで開発に取り組むことが多いため、高いマネジメントスキルや先端技術に関する専門スキルを有したエンジニアは“引く手あまた”の状態にあります。
こちらも他エンジニアと同様に、知識、実力(スキル)や高い実績を有するエンジニアになると、1000万円に近い年収を提示されることも珍しくありません。
ここからは、平均年収が500万円台のエンジニア職を4つピックアップします。
単純に600万円台と比較すると500万円台のエンジニア職は年収が低いようにも感じますが、平均年収は冒頭でご紹介したとおり、おくまで参考値になります。
つまり、平均年収が500万円台であっても、所属する企業や参加するプロジェクト、スキル、実績によって年収が1000万円超になることも珍しくないので、「ここがPOINT」の内容を参考にキャリアデザインを描いていきましょう。
化学エンジニアは、一般的に化学品や燃料、食品など、多岐にわたる製品の研究開発や製造工程の開発、設備設計などに従事するエンジニアを指します。最近はナノテクノロジー、代替エネルギー、バイオテクノロジーなどの先端領域で、化学、物理学、数学、生物学(バイオ)などの高い知識と専門性を有するエキスパート職も多数活躍しています。
● 平均年収
約551万円
● 年収幅
約400万円〜700万円
● 20代
平均年収 約436万円
● 30代平均年収
平均年収 約562万円
● 財閥系化学メーカー
平均年収 約500万円~1000万円
● 素材メーカー
平均年収 約500万円
● 生産技術
平均年収 約600万円
● セールスエンジニア
平均年収 約600万円~1100万円
ここがPOINT: メーカーに所属する化学エンジニアの平均年収の分布幅は、400万円台~500万円台が最も多く、次いで500万円台~600万円台、600万円台~700万円台と続きますが、20代から30代、さらに40台にかけて年齢、経験、実績を積むことで年収の伸び率が高い傾向にあります。
また、三菱・住友・三井などの財閥系化学メーカーでは、手厚い福利厚生を受けられるとともに、大規模プロジェクトに参加する機会が多く、年収は500万円~1000万円と高い数値が掲げられています。
財閥系以外の大手化学メーカーや総合エンジニアリング企業でも、上流から下流までを一貫して自社で担う強み、世界トップクラスの技術力、コスト競争力での優位性、長い歴史などの様々な魅力があり、勤続年数18年のエンジニアが970万円の年収を稼いでいる実例もあります。
情報処理・通信エンジニアは、電気通信や情報通信など、情報通信ネットワークの設計・構築、運用、保守なに従事するエキスパート職です。
● 平均年収
約550万円
● 年収幅
約400万円〜800万円
● 大手ソフトウェア企業
平均年収 約1440万円
● 大手通信インフラ企業
平均年収 約1340万円
● 大手Sier
平均年収 約800万円〜1200万円
ここがPOINT: 情報処理・通信領域に従事するSEの平均年収は600万円、サーバエンジニアとソフトウエア作成者は550万円、プロジェクトマネージャは800万円といった具合に、携わる分野・領域によって平均年収は大きく異なりますが、知識、実力(スキル)や経験が高いほど、高い年収を得られます。
また、テクノロジーの進化が著しい業界とであるため、最先端技術を習得した情報処理・通信エンジニアや、プロジェクトやチームを取りまとめるマネジメントスキルが評価されるリーダー的エンジニアの場合、年収が850万円〜900万円超になることも珍しくありません。
そのほか、大手ソフトウェア企業では勤続10年超で1440万円、大手通信インフラ企業では勤続10年以内で1340万円、インターネット・WEB業界の大手HDでは勤続7年余りで年収が1139万円にのぼる実績もあります。
高等教育機関で機械工学、材料工学、金属工学を専攻し、主に鉄鋼・金属メーカー、電機メーカー、造船メーカーなどに就職した金属・材料エンジニアは、主に金属や半導体、セラミックなどの新素材や新技術の開発や、製造現場での加工技術の発案に従事するエキスパート職です。
● 平均年収
約531万円
● 年収幅
約400万円〜700万円
● 商社
平均年収 約500万円〜750万円
● 財閥系メーカー
平均年収 約450万円〜1000万円
ここがPOINT: 大手金属メーカーをはじめとする上場企業に所属する金属・材料エンジニアやプラントエンジニアの平均年収は700万円を超えるケースが多く、中堅企業や中堅商社に所属するミドルエンジニアの場合、平均年収は500万円〜750万円ほどになります。
また、金属メーカー、電機メーカー、造船メーカーはいずれも歴史がある大手が多いことから、手厚い福利厚生を受けられる点が大きな魅力で、財閥系メーカーに勤務し、マネジメント経験が豊富なベテランの金属・材料エンジニアになると、年収は1000万円近くになります。
金属・材料エンジニアも他のエンジニア職と同様に、勤続年数や職位によって年収は異なりますが、大手に勤務するほど高い年収を得ることが可能といえるでしょう。
ITエンジニアのキャリアのスタート職といえるプログラマは、キャリアを積みながら最新テクノロジースキルや言語スキルを身につけることで、「SE」→「プロジェクトリーダー」→「プロジェクトマネージャ」へとキャリアアップすることが可能です。
● 正社員のプログラマ
平均年収 約458万円
● 派遣社員やアルバイトのプログラマ
平均年収 約350万円
● 20代(正社員)
平均年収 約360万円
● 30代(正社員)
平均年収 約480万円
● 40代(正社員)
平均年収 約560万円
●外資系企業のプログラマ(正社員)
平均年収 約1500〜2000万円
ここがPOINT: 複数言語を習得し、高難度のプロジェクトを成功に導くプログラマは高く評価され、その実績から高収入を得ることができます。なかには、自ら新しい言語を開発し、世界に名を馳せたプログラマも数多くいます。
プログラマは、残業が多いなどのマイナスイメージがありますが、その半面、大手企業やグローバル企業に所属するプログラマの年収は総じて高い傾向にあり、外資系企業で働くプログラマの年収が2000万円を超えることも珍しくありません。
さらに、希少価値の高いスキルを有したプログラマが、AI開発や大規模プロジェクトのシステム開発に高待遇で招聘されるケースも、最近は非常に多くなっています。
今回は、平均年収が600万円台のエンジニア職を5つと、500万円台のエンジニア職を4つご紹介しましたが、いずれも共通していることは、所属する企業の規模やプロジェクト、年代、スキル、経験、ポジションなどによって年収に大きな幅がある点です。
また最近は、プログラマとしてキャリアをスタートさせた後、自ら言語を開発し、その希少性が買われて、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字の略)などの巨大グローバル企業に特別エンジニアとしてヘッドハンティングされ、世界に名を轟かせたプログラマも存在します。それ以外にも、大手企業に所属することなく、高等教育機関で専門スキルを身につけたのちにスタートアップを立ち上げ、一攫千金を手にしたケースも珍しくなくなっています。
そのほか、2022年の大卒の平均初任給額は22万8500円ですが、すでに世界最大の半導体ファウンドリTSMC社(台湾)の巨大工場「JASM」(TSMC熊本)が稼働している九州・熊本で、半導体関連メーカーに採用された大学新卒のエンジニアの初任給が28万円、修士卒が32万円、博士卒が36万円と高水準を記録し、SNS上や就活サイトでは「待遇がヤバい!」と話題を集めています。
このように勢いのある業界では、常識を覆す月給・年収が提示されるケースも多くなっているので、企業研究とあわせて業界研究をしっかり行うことも、高収入をゲットする有効な対策になるといえます。
—— 技術というスキルと経験を武器に、腕一本で世界と互角に戦うエンジニアを志す人は、大手企業に所属してキャリアアップしながら高収入を得る方法が定石とされますが、それまでの経験とスキルをもとに独立したり、先端領域のスキルを身につけて人手不足の業界をめざすことで、若くして高待遇をゲットすることも可能な夢のある職業といえます。
ただし、成功を勝ち獲ったエンジニアの共通項は、優れたスキルはもちろんのこと、独創性や先見性、リーダー的素養を兼ね備えている点といえるでしょう。特に、先端テクノロジー領域で成功をたぐり寄せる最大のスキルは、技術力と人間力をかけわあせた“総合力”にかかっていることは、どうやら間違いなさそうです。
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