〈年収✕ ITエンジニア〉①算出方法によって異なる 平均年収、世帯年収、中央値。 日本で働く人はどれくらい 収入を稼いでいる? | エンジニア求人ナビ

算出方法によって異なる 平均年収、世帯年収、中央値。 日本で働く人はどれくらい 収入を稼いでいる?





数ある職業のなかで「高収入の職業」というと、多くの人が、開業医、弁護士、大手企業の役員、さらに金融業界やIT業界で働く人などを連想することでしょう。

「高収入」か、そうでないかのボーダーラインは一般的に1000万円を基準にすることが多いといえますが、厚生労働省がまとめた「2023(令和5)年 国民生活基礎調査  II 各種世帯の所得等の状況」によると、2022年12月31日時点での1000万円超の世帯所得割合は、全体(約5622万世帯)の11.6%と発表されていて、100世帯のうち11〜12世帯が1000万円以上を稼いでいる計算になります。

これからITエンジニアをめざす人や、他分野のITエンジニアへ転職やキャリアアップを考えている人にとっては、キャリアプランを描く際に、日本で働く人の多くがどれくらいの所得を得ているのかなど“お金”に関する実態を知ることが、大きな手がかりになりますので、今回は国民の平均年収などの“お金のあれこれ”をわかりやすく解説したうえで、続く②の記事で、本題の「年収✕ ITエンジニア」について詳説します。



日本の全世帯のうち、400万円未満の所得割合は48.9%


冒頭でご紹介した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査」では、1世帯あたりの平均所得金額の分布は下グラフのようになっていて、全世帯総数(約5622万世帯)のうち、400万円未満までの世帯所得の割合は48.9%にのぼり、ほぼ半分を占めています。



● 100万円未満 6.9% (約388万世帯)
● 100万円〜200万円未満 14.6% (約821万世帯)
● 200万円〜300万円未満 14.5% (約815万世帯)
● 300万円〜400万円未満 12.9% (約725万世帯)
● 合計         48.9% (約2749万世帯)



全世帯中、500万円〜800万円未満の所得割合は約21%


次に、世帯所得が500万円以上の割合はどのようになっているのでしょうか。上グラフで示された割合をもとに世帯数を計算すると以下のようになります。



● 500万円〜600万円未満  8.5% (約478万世帯)
● 600万円〜700万円未満  6.4% (約359万世帯)
● 700万円〜800万円未満  5.8% (約326万世帯)
● 合計          20.7% (約1163万世帯)



ちなみに、国税庁が発表した「令和5(2023)年分 民間給与実態統計調査」では、30代後半の中堅社員の平均年収は「400~599万円」がボリュームゾーンで、30代後半〜50代のミドル世代の平均年収は530万円とされています。

なかには、先端技術を武器に若くして高収入を得ている20代のエンジニアや、スタートアップや起業で成功をおさめた若者も多くいる一方、世代で見ると500万円〜800万円未満の比較的高い年収を稼いでいる約4割が、ミドル世代となっています。

ちなみに、興味深い数値にこのようなものがあります。地方から東京に転居する学生さんやオフィスワーカーが賃貸物件を借りる際に、地元の賃貸相場の1.5倍〜2倍であることに驚かされることが多いといえますが、東京は日本国内で最も生活費(物価)が高いため、首都圏(主に東京)在住者の平均年収も563万円と高くなっています。一方、第二、第三の都市である東海・関西圏の平均年収は451万円程度にとどまっていて、その差は約112万円に……。このように平均年収を考える際は、居住地によっても大きく差異があることを踏まえておきましょう。

800万円超の高所得者、富裕層の世帯割合は?


続けて、高額所得者、または富裕層と呼ばれる800万円以上の世帯割合です。



● 800万円〜900万円未満    4.6% (約259万世帯)
● 900万円〜1000万円未満  3.7% (約208万世帯)
● 1000万円超   11.6% (約652万世帯)
● 合計 19.9% (約1119万世帯)



※「1000万円超」の11.6%は、厚生労働省の「2023年 国民生活基礎調査」の「1000万円以上〜2000万円未満」の世帯割合を合算した数値です。

1000万円超の11.6% に該当する約652万世帯は、例えば夫の収入が700万ほどで、妻が約400万円といった具合に、個人ベースでは1000万円に届かないものの、夫婦の収入合計が1000万円を超えるダブルインカムの世帯も含まれます。

ちなみに、世帯主ひとりで年収1000万円超を稼いでいる割合は、2023年の時点で11.6%の約半数とされていますが、日本の総世帯数が現在より約200万世帯ほど多かった(5431万世帯)2023年には、1億円以上の資産を保有する富裕層が約2.5%を占め、さらにその上をいく超富裕層は、約0.16%にのぼることが厚労省のデータで明らかにされています。



平均所得金額は542万円。だけど所得の中央値は約405万円?


全世帯の所得分布を見ていくと、全世帯の約半分にあたる48.9%が400万円以下の所得にとどまっていて、次いで500万円〜800万円未満の世帯が約20.7%、さらに、高額所得世帯の800万円〜1000万円超は19.9%となり、富裕層と呼ばれる1000万円超の世帯割合は11.6%にものぼっています。“お金持ち”と呼ばれる家が100軒中2軒ほどあることに驚かれる人も多いことでしょう。

一方、上のグラフで注目すべきポイントは、1世帯あたりの平均所得金額が524万2000円と、500万円台を突破している点にあります。ところが同グラフでは、所得の「中央値」が「405万円」になっています。

「平均所得金額」と「中央値」は同じ意味のように見えますが、両者には約137万円もの開きがあります。これはなぜなのでしょう? その理由は、「平均所得金額」と「中央値」の算出方法が異なるため数字に違いが生じることによります。

〈平均所得金額とは〉


計測対象となる世帯の所得を足し合わせ、その合計数を全世帯数で割ったもの。 所得が突出して高い富裕世帯や低所得世帯も計測対象になるため、実際の真ん中の数値(中央値)とは離れた数字になることが多い。また、メディアなどではこの数字が用いられることが多い

〈所得の中央値とは〉


所得を低い世帯から高い世帯へと順に、カードを並べるように配列したとき、ちょうど配列の真ん中にくる数値。 突出して収入が高い高い富裕世帯や低所得世帯の収入に影響されることなく、リアルな平均値が示される



世帯ではなく、個人の給与所得割合はどうなっている?


ここまで、1世帯あたりの平均所得の金額を主に見てきましたが、個人(一人あたり)の民間給与がどのようになっているのかも気になるところですよね。国税庁がとりまとめた「令和5年分 民間給与実態統計調査」をもとに見ていきましょう。

● 2023年に1年を通じて勤務した給与所得者
 約5076万人
● 全給与所得者の平均給与額の平均
 460万円
● 全給与所得者のうちの男性
 約2887万人
● 全給与所得者の男性の人数
 約2887万人
● 男性の平均給与
 約569万円
● 全給与所得者の女性の人数
 約2189万人
● 女性の平均給与
 約316万円
● 全給与所得者の正社員の平均給与
 約530万円
● 全給与所得者の正社員以外の平均給与
 約202万円



この統計調査では、年間給与額が400万円超〜500万円以下の男性構成比率(17.5%)が最も多く、その実数は504万人になっています。
あわせて女性は、100万円超〜200万円以下の構成比率(20.5%)が最も多く、その実数は449万人になっています。

物価上昇を上まわる賃金引き上げが推奨されるなか、大手企業を中心に給与の額が引き上げられていますが、現役世代の男性の多くが400万円台の年収にとどまっていて、女性の多くが100万円超〜200万円以下と低い年収にとどまっている現状にあります。

冒頭に示したグラフでは、年間の世帯所得が100万円未満の世帯が6.9%、100万円〜400万円未満の世帯が42%にのぼることからも、依然として生活が苦しいと感じている人の割合は、全世帯の59.6%にのぼることもわかっています。



続く〈年収 ✕ ITエンジニア〉②では、9職の高収入ITエンジニアを厳選!


公的機関のデータをもとに、ここまで「平均年収」と「中央値」の意味の違いや、世帯や個人(一人あたり)の民間給与の実態を解説してきましたが、続く〈年収 ✕ ITエンジニア〉②では、本題のテーマとなる〈年収✕ ITエンジニア〉に目を向けていきます。

〈年収 ✕ ITエンジニア〉②では、平均年収が600万円台と500万円台の9つのITエンジニアを ピックアップしていますが、平均年収が600万円台と聞いて、あなたは“高い”と感じますか? それとも“普通”と感じますか?

  500万円台と600万円台の年収が“高い”か“普通”かは、人によって感じ方は異なりますが、個人(一人あたり)の民間給与の平均が男性 : 400万円台、女性 : 200万円以下であることを踏まえると、個人の感覚に左右されることなく、「500万円台」と「600万円台」の妥当性や客観性が見えてくるはずです。

さらに「平均年収」が、高収入の人と低収入の人の数字を合算して算出した数字であることをきちんと理解できていると、「500万円台」と「600万円台」の数字に一喜一憂することなく、経験年数、企業規模、携わる分野・領域・業務、雇用形態、ポジション、勤務地によって年収が上下動することや、たとえ平均年収が500万円台であっても、役員クラスやスーパーエンジニアになると破格の1500万円超の年収を得ている……といった背景や実情をうかがい知れるようになります。

—— さて、実際にどのようなITエンジニアが、600万円台、500万円台の平均年収を得ているのでしょうか……。詳細は「こちらの記事」をぜひご一読ください!

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